2019年度が今日から始まります。年度末に、バタバタしていて本当に1日になった今、この校長談話を書いています。いよいよ7年目(私のこの学校での勤務です)を迎えました。学校は、公立西知多看護専門学校となって6年目になります。月日が流れるのは本当に早く、聞いてはいましたが、歳を重ねるごとにその加速度が増していくことを実感しています。
学校は6年目ですが、知多市立の最後の年に卒業した学生の次の学年から回生を数えているため、この4月に入学する学生は8回生になります。どんな学生さんと出会えるのか、今からワクワクしています。そして、教職員の異動もありました。事務の要である庶務課長さんが異動され、新しい課長さんをお迎えします。教員も定年退職を迎え、再任用で引き続き働いていただける方、常勤を退職して非常勤として勤務を続けていただける方、保育園へ異動となった方もいます。そして、新しい教員も迎えることになりました。この変化もドキドキ、ワクワクです。
人がかわるということは本当に大きな変化で、迎える側にとっても、入られる側にとってもストレスを生むものだと思います。ですが、そのこと自体が新しい風を起こし、学校全体の変化を呼び起こしてくれるのです。
今年度は、カリキュラム改正に向けて方向性を明らかにする大切な準備期間だと思っております。様々な考えを出し合い、話し合いを積み重ねていきたいと思います。
卒業生たちも新人看護師として歩み始めます。その応援も身近でしつつ、新入生、新入教職員とともに今年度も精一杯、より良い学校を目指して歩んでいきたいと思います。
平成31年4月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「令和の始まり①」
先月、新しい年度が始まり、今月、新しい元号となりました。平成の時代、私は何をしていたのか、振り返ってみようと思います。平成になった年、私は知多市民病院(現在は東海市民病院と統合し公立西知多総合病院)の循環器と血液内科の病棟で2年目看護師として働いていました。2年目になり、仕事にも少し慣れて後輩もできて張り切っていた時代でした。
その後、3年目になり、チームリーダーを任せてもらったことを覚えています。役割を与えていただき、先輩に助けていただきながら、目の前の患者さんに良い看護を提供することを必死に考えていたように思います。その一方で、煩雑な業務に追われ、患者さんのことを一番に考えられなくなっている自分を責める日々も続きました。「このままでは、私が大切にしたかったこと自体を忘れ、感情が麻痺してしまう」、そんな思いにもなりました。3年目の秋頃に、もともと希望であった養護教諭への道を目指そうと思い、仕事を辞めたいと当時の看護婦長さんに伝えました。ですが、その年の退職希望者が多く、引き留められ、お世話になった婦長さんのお願いを断ることができずに辞めることを止めました。
そして、その1年後に大学に編入学したのです。そこからの学びは実に新鮮でしたし、学ぶことの楽しさを実感することができました。短大時代は、勉強することが本当にイヤで仕方ありませんでした。そんな私が、多くの患者さんに出会い、関わることで、感じた問題点やわからないことを改めて机上で「学ぶ」ことで多くの刺激を受けました。様々な事象の意味づけができるようになったと思います。夜勤や、外国人の研修センターの保健室で看護師として働いたり、もんじゃ焼き屋さんでもアルバイトをしました。これらの経験も今となっては良い思い出ですし、今の自分に影響していると実感しています。ですから、「決して無駄な経験はない。経験したことをどう意味づけ、どう今に活かすのかによる。」と出会った学生達には伝えるようにしています。
2年の編入学が終わりに差しかかった頃、「もう少し学びたい」「今の状況では掴みきれていない」と思い、修士課程に進学することになりました。これが平成6年のことでした。(後半は次の機会に・・・)
令和元年5月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「令和の始まり②」
修士課程では、看護管理学を専攻しました。「管理をしたことがないのに何故管理なのか?」と入学試験で問われたことを覚えています。私にとって、それまでの看護師経験4年間で管理者が代わった最後の1年間がとても印象に残るものだったことがその理由でした。病棟の管理者が代わると病棟の雰囲気も、そこで行われる看護までも変化していくのを実感したからです。それほど管理者の影響は大きいと分かりました。また、『忙しい』毎日の中で自分が目指している看護を実践できないという現実もありました。何とかしたいという思いから、看護管理学を専攻するに至ったのです。
大学院での学びも本当に刺激的でした。様々な年代(修士の同級生では私が2番目に若いという状況でした)の様々な経験をした同期の仲間とのグループワークや日常の会話が私のものの見方や考え方の幅を拡げてくれたと思います。修士論文を書き上げる際も多くの方のサポートを受けました。担当教授が「どんどん聞きに行きなさい」と背中を押し、時には会っていただけるように口添えしていただいたこともありました。研究方法、統計学、経営学など様々な分野のエキスパートの方に教えていただいたことも大きな財産です。
修士論文に取り組みながら行った就職活動で、以前働いていた病院へ戻ろうとしました。しかし、その病院の看護師の当時の採用年齢制限は26歳で、29歳になっていた私は試験を受けることすらできませんでした。しかし、当時のその病院の看護部長さんに地元の病院を紹介していただき、再就職先が決まりました。その頃、いくつかの大学から教員になるお話もいただきましたが、臨床に戻って学んだことを実践したいと思った私に迷いはありませんでした。その後、結婚、出産などを経験しながら、その病院に16年間勤務することができました。その病院での経験も今の私に大きく影響しています。
このシリーズ、思いのほか、長くなってしまいました。再就職した病院での16年間を語ることで、今のこの校長談話に繋がるかなと思っています。ということで、この続きは次回に・・・。
令和元年6月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「令和の始まり③」
再就職した病院は、300床規模の公立の中規模病院でした。外来勤務から始め、様々な科の外来看護を経験しました。また、その病院では、外来看護師と手術室看護師がペアになって救急外来の当直勤務をすることになっていました。内科病棟の経験しかなかった私にとって救急外来での勤務は、不安と緊張の連続でした。
その後、消化器外科、呼吸器外科、口腔外科の混合外科病棟へ異動し、多くの患者さんと出会いました。その出会いは、この校長談話の「看護師としての思い出」に何度か書かせていただきました。手術後の患者さんの観察に追われ、不安を抱く患者さんの思いを聴く時間を確保することは難しいことでした。この時に、抱いた「看護師が納得がいく、やりがいを感じられる看護を実践できる環境を整えたい」という思いが管理者となった時に活かされたと思っています。
その後、看護部の教育担当となり、教育システムを見直す機会を与えていただきました。今もそのシステムを改善しながら教育が行われていると聞いています。そして、院内のICLSコース、BLS+AEDコースの立ち上げを行いました。これは、救急外来で私自身が感じた不安や緊張を同様に感じる人が少なくなるようにという思いがあったことと一緒に取り組もうという仲間がいたことが原動力となりました。
その後、病棟再編成(60床程度が1看護単位であった状況を2つの看護単位にし、診療科の割り振りも変更)を行い、自分自身も新しい病棟の看護師長として実践の現場に戻ることになりました。新しい病棟を立ち上げることは、とても楽しく、その頃の仲間(医師や看護師、看護助手も含めて)は今でも懐かしく、大切な存在となっています。「説明できる看護」「話し合える職場」というスローガンを掲げ、時には揉め事もありましたが、話し合い、愛のある看護を実践するよう努力できたと思います。ですから、その頃の仲間には本当に感謝しています。
看護部長の退職に伴い、再度看護部に戻り、新人のローテーション研修開始や小学生対象病院体験ツアーの開始など、ワクワクすることに取り組むことができました。
この病院での16年間の経験が、今の私の「何とかなる精神」や「創造的なことが大好き」という在り様を形成することに影響したと思います。そして、そこには多くの仲間がいて、支えてもらったと今でも感謝しています。16年間で結婚、出産もし、プライベートでも多くの人に支えていただきました。
ということで、私の平成時代は、新人看護師時代から、二度目の学生生活、そして16年間の病院勤務、思いもかけなかった看護学校での勤務という4部構成でした。令和の時代を何部構成にするのか、またワクワクしながら考えたいと思います。
令和元年7月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「小論文の添削」
当校では、『書く力』をつけるため、様々な活動をしています。レポートや実習記録など書く課題が多い看護学生にとって、『書く力』があるかないかは非常に大きな問題です。『書く力』が強い人と弱い人では、評価はもちろん、睡眠時間にも影響するからです。また、就職試験において多くの病院では、小論文あるいは作文が課せらます。そこで、力を発揮することができないと、看護師としての第一歩を踏み出すことにも支障をきたすことになります。更に、働きだした後も、日々の看護記録はもちろん、看護研究や研修後の復命書など、『書く』ということはずっと必要なのです。などなど、様々なことがこの活動を始めた動機になっています。
活動のひとつとして、今年度から1年生は毎週同じテーマで300字の小論文の課題を出しています。時事問題に関するテーマや日々の生活上のテーマなどについて学生がそれぞれの考えを記述してきます。それを副校長と私で添削して返却するのです。この方法は、私自身も経験し、自分が気づかなかった文章のくせや呼応表現、主語と述語のねじれなど、多くのことを学ぶことが出来たものです。ですから、副校長も私も必死です。学生たちが一所懸命に書いてきていますので、それには必死で応えないといけないと思っています。辞書を引いたり、インターネットで調べたり、時には国語表現法を担当していただいている先生に直接教えて頂いたりしながら、取り組んでいます。
2年生には、中日春秋(地元紙である中日新聞のコラム)を書き写し、その要約を書くという課題を始めます。書き写すことで文章の流れをしみ込ませること以外に「要約する」ということがポイントです。要約するためには、書いてあることをしっかり理解しないといけませんし、それを表現する力がないといけないからです。
どのような方法をとったとしても、その取り組み方で効果は大きく違うと思います。学生たちが真剣に取り組む事ができるよう、私たちも真剣にサポートしていきたいと思っています。
令和元年8月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「短い夏季休暇」
8月に入り、ようやく夏季休暇と思いきや、すぐさまオープンキャンパスとなりました。今年は、申込み者数が前年に比較して多く、107名の参加者でした。全在校生協力のもと、血圧測定、心音聴取、足浴、ベビー人形の沐浴、手洗い、筋肉注射の演習と、昨年度から始めた在校生と話すトークコーナー、今年度より本格稼働した保護者向けの相談ブースなど多くの企画を用意して、お迎えしました。毎年のことですが、参加者はもちろん、在校生の皆が楽しそうに時間を過ごしているのを見ると、本当に嬉しくなります。そして、参加者の多くがアンケートなどに「アットホームな雰囲気が良かった」「先輩たちが皆、優しい」「先生と学生の距離が近い」などの感想を書いてくださいました。高校生の皆さんに直接お話しする機会がある時には、伝えるようにしているのですが、学校を選ぶ際には是非オープンキャンパスなどの機会を利用して、実際に「行ってみる」ことをお勧めします。自分に合った学校を目指すためにも、雰囲気を体感することが必要だと思うからです。
オープンキャンパス終了後、今度こそ本格的な夏季休暇かと思いきや、次は国家試験対策、就職試験対策となり、学生も教員もゆっくりする間はない状況です。とはいえ、大切な20歳前後の時間(とき)を有意義に過ごしてほしいと思う気持ちもいっぱいです。遊びと学び、それぞれにバランスを取りながら、歳を重ね、思い出したときに『良い思い出』になるようにと願っています。
国家試験対策で頑張っている学生をねぎらうために、教員たちがそうめんパーティを行ってくれました。これも『良い思い出』のひとつになることでしょう。そして、私自身は、みんなの笑顔が一番の喜びだと、暑い夏を過ごしながら実感することができました。
令和元年9月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「話すことの訓練」
9月になり、早速、2年生を対象に話すこと、書くことの訓練を新たに始めました。今回は、話すことの訓練についてご紹介します。
夏季休暇前に模擬面接を行い、その結果で選抜チームを結成しました。週に1回、朝早く登校し、「話すこと」の訓練をしています。連絡なしの欠席、遅刻があれば(連絡があっても寝坊の場合は認めない)、その時点でメンバーから外れること、集中して参加すること、訓練中に話した内容は口外しないこと、以上3つの条件を踏まえて参加の意向がある人のみ参加しています。
第1回目は、代表者が自分の部屋について説明し、それを聞いたメンバーが絵に描くというワークをしました。最初は皆の方を向かないで説明し、2人目は皆の方を見ながら説明しました。身振り、手振りは禁止です。1人目と2人目の間には、「どう伝えればわかりやすいのか?」ということを共有しました。そこでは、まず、部屋の形(5:3の縦長の長方形の部屋など)を伝え、どこにドアがあるのかを上下左右で説明し(東西南北での説明をアドバイスしましたが、分かりづらいと却下されました…)、部屋に入ったところから、絵を描く側がイメージしやすいように説明していくということを話し合いました。2人目の人が終わった後には、「皆の様子を見て、分からない様子であれば、表現を変えたり、再度説明する」ということを確認しました。
2回目は、前回共有した説明のポイントを踏まえて、異なる人に説明をしてもらいました。その後、駅までの道のりを説明するときに場面を変えて想像し、「説明をする」際のポイントとして『一般化』してみるということをしました。抽象化、具象化は日常で行っているものの、敢えて課題として認識するとなかなか考えられないものです。説明する時には、全体像がつかめるようにまずは大まかなところをざっくりと説明して、細かい内容に入っていくこと、相手の様子を見て表現の変更や説明の追加をすることなどを再認識してもらいました。
次回までに、参加者以外の人に部屋の説明をしてみて、この課題はクリアできたと思えるように…と宿題を出しました。きっと、それぞれにやっていてくれると信じています。
少しずつ、様々なテクニック、ポイントを認識し、それを取り入れ、実践することができるように、楽しく学んでいきたいと思います。
令和元年10月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「協力と協働」
当校の現状のカリキュラムは、社会人基礎力、倫理性の向上を柱として構築されています。現在、その評価は、学生の自己評価のみであり、今後他者評価も含め、学内のみならず実習中での評価も検討していきたいと考えています。
では、社会人基礎力と倫理性の醸成のために何をしているのかと問われると思います。勿論、講義や演習、実習で様々なことを経験し、その振り返りをし、内省することで培われることも多いと思います。それに加え、当校では、グループワークを多く取り入れています。グループワークをするプロセスにおいて、自らの考えをきちんと相手に伝えること、相手の話をきちんと聞くこと、意見が食い違った時に調整することなどを実践的に学ぶのです。
そのようなグループワークでは、ピア評価を取り入れることも多くあります。これは学生同士が評価しあうことです。点数をつけ、「貢献してくれたところ」と「もっと、あるいはもう少し、こういうところが改善されたら良いと思うところ」を言葉で表現してもらいます。点数は、その科目の評価点数に加味され、言葉での評価はそれぞれの学生に教員のメッセージとして表現を加工して伝えるようにしています。
最近、このピア評価にも困難を感じることがあります。何故なら、グループワークの過程において、それぞれの弱点についてどこまで把握し、お互いにそこを乗り越える努力をした上での評価かという点において、グループ間あるいは学生個々に差があると思うからです。グループワークの途中では、お互いに指摘することはせず、最後の評価になって指摘することが気になります。低い評価であった学生は、「ならば、途中で言ってほしかった」と思うでしょう。しかし、途中で言いづらいことも理解できます。そこも含めてのピア評価なのですが、いろいろな感情のもつれが起こっていることも現実です。
30人1クラスで3年間、基本的に同じメンバーで過ごすわけですから、その間に関係性の変化や揉め事もあって当然です。それも看護師として働き、チーム医療の一翼を担う者として成長する機会でもあります。私のところへ直接、訴えにくる学生もいますが、自らが解決できるよう、その力を持っていると信じて、これからも関わっていきたいと思います。協力(cooperation)をする経験を通し、協働(collaboration)することのできる看護師になっていただきたいと思います。
令和元年11月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「統合と実践」
3年生の領域別実習が終わり、今年も統合と実践実習が始まりました。この統合と実践実習は、様々な場所で様々なことを学んでいます。中でも一番実習期間が長いものは、チームナーシング実習です。これまでの実習では1人の患者さんを受け持っていましたが、2名の患者さんを受け持ち、看護を実践するチームメンバー役割の実習、病棟看護管理見学、夜勤実習があります。チームメンバーとしての実習は、今までの学びの集大成と言えます。1人の患者さんの情報でも、それを理解し、どのような看護が必要なのかを考えることは、学生たちにとって大変なことですが、この実習では2人の患者さんに関わるからです。まさに「統合と実践」です。今までの学びを統合し、それを実践するのです。この時期の3年生の姿は、それは頼もしいものです。1年生の頃から関わっている我々教員は、その成長ぶりを実感します。今年度の学生たちの実習終了後のアンケートをちらっと見ましたが、「楽しかった」、「今までの学びが役立った」、「実際に働く際のイメージができた」などのことが書かれていました。その一言一言が嬉しいものだなぁと改めて思いました。
病棟看護管理では、リーダーナースや病棟管理者の「動きの意味」を知ることが大切です。それぞれの方が「何故、あのように動いたのか」について説明してくださることで、学生達は初めてその意味に気づくことも沢山あるのです。リーダーナースや病棟管理者になることは、まだ先のことですが、「マネジメント」の意義を実感してもらえると良いと思っています。
そして、夜勤実習です。母体病院のご協力があって、実現している実習です。21時から翌日の朝の8時30分までの実習です。ここでは、夜間の患者さんの状況、看護師さんの動きなどを見学し、新人看護師となった時のイメージをしてもらいたいと思っています。夜間落ち着いている時間に、昼間には聞けない先輩看護師さんの経験談などを聞くことも学生にとって、新鮮で、とても嬉しいことのようです。
その他、保健センターでの地域保健実習、消防署での救急車同乗実習、他職種見学実習を行います。今までの学びを活かし、看護師となったときの糧となるような実習であるようにと願っています。3年生の皆、頑張れ!
令和元年12月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「2020年の幕開け」
皆さん、新年あけましておめでとうございます。今年は、東京でオリンピックが開催され、日本が世界から見つめられる年になりそうです。そして、看護学校では、2022年のカリキュラム改正に向けての準備が必要な年度となります。当校では、昨年から少しずつ検討を重ねています。柔軟性のある指定規則になりそうですので、地域や母体病院のニーズ、入学する学生の特性から、期待される卒業生像を明文化し、その姿を目指した、当校ならではの教育とはどうあるべきかを考えていく予定です。
例年通りの仕事を行いながらの検討は、正直なところ、大変です。しかし、これがチャンスだとも思っています。新しい教員も加わった状況で、指定規則の変更という機会が与えられ、今までとは異なる視点で当校の看護教育を見直すことができると思うからです。ですから、私にとって、少ない時間の中でも、教員全員で議論を交わすことは非常に刺激的で楽しいことなのです。
そして、私が当校に来て8年目となります。末広がりで縁起の良い「8」という数字にあやかり、様々なことにチャレンジする年にしたいなと思っています。「創造的な仕事」をすることが何よりの喜びです。やらなくてはならない仕事も、いかに自分らしく、納得のいく方法を考え、実行できるかによって、その真価が問われると思います。皆で同じ方向に向かって、のびやかに、日々の学生との関わりを実践することができるような組織であり続けられるよう、私自身の役割をその時々で変化させながら、動いていこうと思っています。今年も皆さん、よろしくお願いいたします。
令和2年1月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「盛りだくさんの1月」
今年は、9日間という長い年末年始休暇があり、まずは年始早々に一般入学試験がありました。結果発表を終え、現在入学手続き期間になっています。4月に新しい仲間に出会えることを楽しみにしています。
入学試験が終わり、翌週から1年生の基礎看護学実習1という生活援助実習がありました。私は、直接実習指導に関わりませんが、終了後のアンケート結果を入力していて、何だか嬉しくなりました。それは、臨地実習指導者や教員たちがとても良い指導をしてくれているということを学生の言葉から感じたからです。指導で良かったところとして、「今まで短所だと思っていたことが、長所でもあると言われた」「なぜ、そういう判断をしたのか、細かく聞いてくれたので、頭の整理ができて、落ち着いて援助できた」「自分で考えるように話してくれた」など、自分の成長したところとして、「自分に足りない部分が見えた」「自分で考える力、先のことを考えて行動する力がついた」といった内容が書かれていたのです。学生が成長したところとしてこのような点を挙げること自体、とても素晴らしいと思いました。指導者の方や教員がしっかりと学生一人一人を見てくださった賜物だと思っています。
24日には、3年生が「体験レポート発表会」を行いました。それぞれの実習での経験をエッセイとしてまとめ、立派に発表しました。臨地の指導者の皆さんや国語表現法の講師が聞きに来てくださり、温かいコメントをいただきました。自分自身の学生時代や新人看護師のころを思い出したこと、3年生が成長したことを実感したことで、何となく、ほっこりした気持ちにさせていただきました。
そして、28日から2年生の領域別実習が始まりました。本格的な実習の開始となり、初日は「カチンコチン」になっていると聞きましたが、実習を重ねるたびに成長していく姿が今から楽しみです。
本当に盛りだくさんなひと月が過ぎました。2月は短く、毎年早く感じますので、年度末、年度始めにすべきことに早め早めに取り組みたいと思います。
令和2年2月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子
「自己主張と負うべき義務」
最近、何度か、同じようなことを考える機会がありました。それは、「自己主張と負うべき義務」についてです。病院勤務時代に病棟の看護師長をしていた際、私はとても優秀な部下に恵まれました。私のもとで、当時主任として働いてくれていたTさんは、常々、スタッフに次のように伝えていました。「不平、不満は誰でも言える。だから、どうしたいのか、どうしたら良いと考えているのか、提案してほしい。」と。私は、そんなTさんのお陰でスタッフとともに前を向いて、創造的な仕事が出来たと感謝しています。上司や先輩、仲間の言うことに全て迎合すべきだと考えているわけではありません。しかし、自分の考えを主張するのならば、その裏にある負うべき義務についても考えるべきだと思うのです。自分の発するマイナスな表現や行動が他者にどのような影響を及ぼすのかについて組織で働く人には敏感であってほしいと思います。
人は、自分の置かれている状況において、知らず知らずのうちに「自分本位」になってしまうものだと思います。ですから、「こう言われた」、「ああ言われた」、「だから腹が立つ」、「納得いかない」などと訴えてくる学生がいるときには、その気持ちは受け止めつつ、自分が相手に言われている「本質」を見つめ直すよう促しています。このことが、将来看護師として働く際に必要となる上司や先輩と協働する力に繋がると思うからです。自分自身が負うべき義務を誠実に果たす努力をしていたのかどうか、そのことを振り返った上で、理不尽な点について主張することは間違っていないと思います。そして、その振り返りがどの程度行われているかどうかによって、その主張の正当性や妥当性が裏付けられるのです。自分の果たすべき義務を果たしていない状況における主張は、受け入れてもらうことが難しいと思います。
アサーティブネスにおける自己主張では、相手が尊重されていると感じなければ、スマートとは言えないと思います。これから看護師になろうとしている学生たちが、お互いに尊重しあえるコミュニケーションをとることができるように、私たち教職員も学生を尊重した関わりをしていきたいと思います。そして、学生時代に、自らの義務を果たした上で建設的かつ創造的な意見をスマートに主張することのできる看護師を育てることが目標です。
令和2年3月 公立西知多看護専門学校
校長 竹内(宮原)晴子